Webサイトやブログを構築する際、「WordPress」を採用する人が多いと思います。WordPressは世界で最も使われているCMSであり、無料で導入できるので初心者にとっても良心的です。
しかし、WordPressだけが選択肢というわけではありません。WordPress以外にも多くのCMSが存在し、各々強みを持っています。
今回解説する「Movable Type(ムーバブルタイプ)」は、サイトのセキュリティや安定性を高めるのに特化したCMSです。
本記事では、Movable Typeの特徴と、WordPressとの違いについて詳しく解説します。
Movable Typeとは?
Movable Typeは、Six Apart(シックス・アパート)社が開発したCMS(コンテンツ管理システム)です。2001年にリリースされ、特に企業向けのWebサイトやブログの運用で活用されています。
Movable Typeの特徴
1. 静的なHTMLの生成
WordPressは基本的に動的生成(データベースから都度ページを取得)ですが、Movable Typeは静的なHTMLファイルを作成します。そのため、表示速度が速く、サーバー負荷が軽減されるのが特徴です。
動的生成とは、ユーザーがWebページにアクセスするたびに、サーバーがデータベースから情報を取得し、リアルタイムでページを生成する方式です。最新の情報を即座に反映できる一方、アクセスが集中してサーバーに負荷がかかったり、データベースを狙われるなどのセキュリティリスクがあります。
静的生成とは、あらかじめHTMLファイルを作成し、それをサーバーに配置しておく方式です。記事やコンテンツの更新には少々時間がかかりますが、データベースを使用しないため、セキュリティ性が高いのが特徴です。
Movable Typeでは静的なHTMLファイルを作成する際に、管理画面上で「再構築」という作業を行います。(Movable Typeの管理画面左上には「再構築」というボタンがあります。)

テンプレートファイルの修正を反映したら「再構築」を行うことで、修正が反映されたHTMLファイルを作成するので、テンプレートファイルを修正するだけでは反映されません。
一方WordPressでは、直にファイルを修正し更新するとオンタイムで修正が反映されます。以上のように、「手間」という観点から見ると、Movable TypeはWordPressよりも少し手間がかかります。
2. ライセンス制
Movable Typeは有料ライセンス制なので、導入する際には費用がかかります。一方で、WordPressはオープンソースで無料利用が可能です。
3. セキュリティの高さ
静的HTMLの生成により、WordPressのようにデータベースを直接攻撃されるリスクが少ないため、セキュリティが高いです。
4. カスタマイズ性
WordPressと比較するとプラグインの種類が少なく、カスタマイズする際は専門知識が必要です。
比較項目 | Movable Type | WordPress |
---|---|---|
価格 | 有料ライセンス制 | 無料(オープンソース) |
ページ生成 | 静的HTML | 動的生成 |
セキュリティ | 高い(静的HTMLによる) | 対策が必要 |
カスタマイズ性 | 専門知識が必要 | プラグイン豊富で初心者向け |
運用コスト | 低め(サーバー負荷軽減) | 高め(動的生成による負荷) |
WordPressとMovable Type、どちらを採用するべきか?
Movable Typeがおすすめ
- 大規模な企業サイトや官公庁のサイトなど、安定性とセキュリティを重視する場合
- サーバー負荷を抑えたい場合
WordPressがおすすめ
- 個人ブログや中小企業のサイトを構築する場合
- 豊富なプラグインやテーマを活用してサイトを構築したい場合
- とにかくサイトを作りたい、無料で始めたい場合
まとめ
以上、Movable Typeの特徴とWordPressとの違いについて解説しました。
企業向けの安定性とセキュリティを重視するならMovable Type、柔軟なカスタマイズ性を求めるならWordPressを採用するのが良いと思います。
自分のサイトの目的に応じて最適なCMSを選びましょう。